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満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】

第36章 血鬼術を解いてよ宇髄さん1※


波奈がすべて食べ終わったのを確認したあと、部屋の襖をからりと開けた。
波奈はきょとんと宇髄を見上げた。
それから襖の奥を見て、そこに布団が1組み敷かれているのに気づく。

「えっ…あの、音柱さま…?お布団…?」

「…なんだ、知らなかったのか。ここはこういう店なんだよ」

慌てふためく波奈に説明すると、波奈は顔を赤くさせて

「こ、ここ、心の準備が」

と小さい声で言う。

「ならいつが良い。なるべく早くが胡蝶の申し出だぞ。
俺は今夜は任務だ。あまり時間はねーぞ」

「…………す」

「あ?」

「今で大丈夫です!!」

うるせ。指で耳を塞ぐ。
顔を赤くさせて、意を決したように波奈はそう叫んだ。

「……んじゃあ、いただこうかね」

ふう、と息をついて、つかつかと波奈のそばへと近づく。

「…?!ひゃあっ…」

「かるいな!」

そのまま彼女を持ち上げて、担ぎ上げる。
思ってた以上に小さくて軽くて、驚いた。
波奈はバタバタと足を動かしているが、大したことではない。

そのままゆっくりと布団に下ろした。
波奈を上から見下ろすと、
キュ、と下唇を噛み締めて、ガチガチに固まっている。

「あ、そーだ。お前、月役はいつ頃だ」

「へっ…」

「お月さんだよ。やや子ができたらまずいだろ」

「えっ、えっと…っ、もうすぐ、だと思います…。あと2、3日、とかそれぐらい…」

「なら丁度いいな」

ぽんぽんと優しく頭を撫でてやると、いよいよ波奈は震えだしてじわりと涙が瞳に溜まっている。
はあ、と宇髄はため息を吐いた。

「…鬼殺隊に関わっている以上、けったいなことが起きるもんだ。
同情するが、仕方ねえことだと諦めろ。
出来るだけ辛くないようにしてやるから、な?」

ぽろんと落ちた涙を拭ってやる。
うーん、緊張してるな。緊張を解す薬を飲ませた方がいいのだろうか。と思っていると、「音柱様、」と波奈が声をかけた。

「なんだ」

「よろしく、お願いします…」

ぎゅう、と目を瞑って波奈がそう言った。
覚悟は出来ているのだろうかと心配だったが、この子なりに覚悟はしているらしい、杞憂だったか。
宇髄はふっと笑い、「おぅ」といらえた。




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