第20章 彼女の能力
ルージュ
その名を告げるユキに、エースは目を見開いた。その名を知っているのは、世界中を探しても、きっと片手の指で足りるほど、トップシークレットだ。それを知っていると言うことは、ユキが嘘をついてはいないことの証拠である。
「・・・・・とても気持ちの良い人たちだった。たくさん、色んな話を聞いた。・・・子供が産まれることも、その時知ったの」
ねぇエース、そう言葉を切るユキは、しっかりをエースの瞳を見つめた。
「・・・どうして、海賊王に子供がいることを、知っているの?」
「・・・・・」
ユキの疑うような視線に、エースは何も答えられなかった。雨音のみ響く中で、しばらく続いた沈黙後、ユキから視線を逸らしたエースは言葉を濁した。
「さぁな」
視線を海へと移してしまったエースに、ユキは問い詰めることはせずに、そう、とだけ呟く。