第13章 本当の名は
「・・・あぁ・・・具合はどうだ?」
「・・・随分、楽になりました。ありがとう」
「ん・・・つか、悪ぃ。除く気は無かった」
「いえ・・・・・見たんでしょう?」
そう聞かれ、ぎくりとするエースは弁明する。
「っいや、別に見ようと思って見たわけじゃ・・」
「・・・・この『跡』。いえ・・・『証』と言った方が正しいかな」
特に怒ったような声音でないことに、裸のこと言ってんじゃねぇのか?と気づくエースは、その言葉に思い当たる節があり、ゆっくりと振り返る。
「・・・・・見られたくないものだったんだろ。悪かったな」
こちらに背を向け、その『証』をエースに向ける女を、じっと見つめる、いや、睨みつけるエースは、今この女がどんな顔をしているか分からない。
「・・・いえ、3度も命を救ってくれた恩人です。それに、隠し通すことはできないと、わかりました」
一度めは燃える街で、2度目は津波、そして3度目は今回の看病。律儀なやつだな、と思う。
「・・・・マルコは、知ってんのか」
「・・・私が、言わないで欲しいと、お願いしたんです」
初めこいつを治療したのはマルコだ。背中が1番ひどい火傷を負っていたこいつの治療をするときに見ない訳が無い。きっと、治療を嫌がったのは女であることをバレたくないこと以上に、この『証』を見られたくなかったのだろう。
「なぁ、それ、俺が・・・・焼いてやろうか」