第11章 辿り着いた島
海へ出てから医療の知識のある片腕、デュースや、白髭の船に乗ってからもマルコなどが医者として常に自分の近くにいた。
そもそも、周りにかぜを引くような奴はいなかった。そこまで考えて、あ、とエースは思い出す。
「そーいや、一度だけルフィが高熱を出したことがあったっけな・・・ルフィは覚えちゃいねぇだろうが・・・」
あれはまだ、サボもいた頃だ。俺とサボ、そしてルフィ。三兄弟として森を駆け回っていた頃。
あのバカでけぇ虎に、ルフィがやられ、その傷口から細菌でも入ったのか、風邪とは無縁だと思っていたあの弟が、その時ばかりは床に伏した。あの時、俺とサボは大騒ぎでルフィの看病したんだっけ。
そう昔を懐かしむエースは、そこでふと、馴染み深い声を思い出した。
『いいかぃ、エース?お前ももう隊長だ、部下の誰かが怪我した時や、病気になった時の対処法くれぇ頭に入れとけよぃ』
そう言いながらエースに一から怪我人の対処法などを叩き込んだ男、1番隊隊長の不死鳥マルコ。その特異な能力故か、治癒する炎を持つ彼は、自然と船医として皆に頼られた。そんな男がエースに万が一のため、と称し叩き込んだ知識、いつ万が一がくるんだ、と反発していたが。
・・・うん、きたな、万が一。
この時ばかりは己の船に乗る長男の言うことを聞いていてよかったと思う末っ子。
「えーと、確かマルコは・・・・・」
『エース。熱が出て倒れたやつを看病するとき、まずはその熱の発生源を突き止めろ、何が原因で熱が出たのか考えて、そこを治療していくんだよぃ』
熱の発生源、と呟きながらエースは横たわる『ユウ』を見る。
波に攫われたんだ、体が冷えたのかもしれねぇな、と考えるが、そこでふと目に止まったものを見てエースはハッと気づく。
「・・・そーいやこいつ、あの島で大火傷してたな。もしかして、それか?」
言いながら先ほど目に入った、もうボロボロになったその包帯をゆっくりと外していく。マルコが治療した後に、『ユウ』へと放った忠告。
『後から熱が出る。熱が出たらまた、俺のところへ来いよぃ』
それを思い出しながらも段々と露になっていくその腫れ切った火傷のあとを見たエースは、目を見開く。
「っ!!!これはっ」