第11章 辿り着いた島
「・・・?つーかお前、なんか、熱くねぇか?」
肌に直接触ったからか、その肌の熱が直に伝わってきた。エースは火だ、常に体温は高く、近くにいるだけで暑いと言われ続けてきたエースが、他人の、普通の人間の体温が熱いと感じた?そこまで考えたところで、ハッと気づく。
顎を掬った指先を離し、片手はデコに、もう片方は首元にあてがう。
「っお前!熱あんじゃねぇか!!しかもこんなに!!」
「・・・・え・・・」
自分でも気づいていないようだった。パチクリ、と目を瞬かせる『ユウ」に、弟のルフィを思い出した。あいつも、熱を出しても自分では気づかず、ぶっ倒れてからようやく熱を出したことに気づいたのだ。そう、つまりこいつも、『アホ』だってことだ。そう納得したエースは、気づけなかった俺にも非はあるな、とため息を吐いた。
「ほら、さっさと横になれ」
「いや、大丈夫ですからっ!放っておけば治ります。あなたがベット使ってください」
「お前な、俺に病人の女からベット奪えって言ってんのか?」
「・・・けど・・・私のせいなので」
申し訳なさそうな視線を寄こす『ユウ」を見て、エースは呆れさっきよりも長めに息を吐いた。
「・・・いーから、気にしてねぇっつってんだろ。ほら、来い」
「ほんっとに大丈夫で___」
まだ抵抗しようとしたその細い腕を取り、立ち上がらそうとした瞬間。
「っ!おい!」
足がもつれたのか、もともと力の入らない体を無理して動かしていたのか、簡単に崩れ落ちたその体。慌ててエースが支えるも、だらりとその腕に体重をかける『ユウ』。
額にいくつもの雫を滴らせ、はぁはぁと荒い息をするその顔は、熱により真っ赤である。そんな様子を見て、エースは呆れながらもその体を抱える。
「・・・・ったく。無理してっからだ」
「・・・・めんな、さぃ・・・」
ギュッとエースの胸元で手のひらを握りしめる『ユウ』は、薄れゆく意識の中最後にエースへと謝罪する。限界だったのか、完全に目を閉じ切った『ユウ』をゆっくりとベットへ降ろす。
「・・・・最後まで謝ってんなよな」
ベットの上で苦しそうに熱にうなされる『ユウ』を見て、エースはさて、困った、と頭の上にあるテンガロンハットを抑える。
「・・・・病人の世話なんて、何年ぶりだ」