第11章 辿り着いた島
「おっまえ、すげぇな!なんであんな危ないことしたのかと思ったけど、そこまで覚悟してたんだったら、相当の理由があったんだろ?女なのに、見上げた根性だ!」
「へ・・・・」
ニシシシシ、と笑いながらぽんぽんと『ユウ』の背中を叩くエースはご機嫌だ。
こんな感じだが、エースは海賊だ。しかも、四皇の一角、それも白髭の元で2番隊を任されている実力者だ。
大の大人の男でも震え上がる肩書きのある人間に睨まれ、怯えながらも自身の覚悟を示したのだ。女であるにも関わらず。そこが、エースに気に入られたのだろう。
しゃがみ込んだままエースはその小さな体を抱く。すっぽりとエースの腕に収まる『ユウ』は、困惑しながらもジタバタとその大きな抱擁から逃れようとした。
「ちょ、あの、離して、くださいっ!!」
「っお、なんだよ、これから一緒に過ごすんだから、仲良くなってなきゃだめだろ?」
エースの腕からなんとか抜け出した『ユウ』は、ズサーーッと後ろへ後ずさる。それを不服そうに見るエースは、そう言いながら立ち上がる。
「・・・・一緒に、過ごす?」
馴染みのない言葉に、『ユウ』は理解できずリピートする。そんな『ユウ』にニカッと笑顔を向けるエースは、さも当然のようにそれを口にした。
「おう!まぁあんな嵐にあっちゃ、当分は迎えの船も来れねぇだろーしな。あの波に飲まれた時、俺が持ってた仲間達のビブルカードも全部攫われちまったみてぇだし。船でも作ろうかと考えたが、指針なしに海へ出るのは危険だ。ま、仲間達が俺のビブルカードを持ってるから、あっちからこの島に辿り着くだろーし、ここで大人しく待つのが1番だな!」
「・・・・そんなっ!!・・・・隣の島までならなんとか」
「なんねぇな。ここは新世界だぞ?何が起きるかわからねぇ海で、能力者のしかも女のお前となんて、無理だ」
キッパリと言い放つエースに、ウソ、と呟きながら『ユウ』は、項垂れた。こんな孤島で、こんな能天気そうな男と一緒に過ごす???ありえない。無理だ。せめて私のことを男だって思ってくれてたらマシなのに。。。。
そんなことをぶつぶつと呟く『ユウ』に、失礼なやつだな、と少しむっとするエースだが、最初に目があった時に感じた違和感の正体に気づく。