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Time to Time ーAS・Lー

第11章 辿り着いた島


「ごめんなさいっ」

そう、エースに向けて頭を下げる。エースはその謝罪に、深く被ったテンガロンハットから覗かせる目で、じっと『ユウ』を見つめる。

「それはいってェ・・・何に対する謝罪だ?」

低く唸るような声に、未だ下がる頭がびくり、と怯える。空気が少し下がった気がしたが、それでも『ユウ』は、はっきりとした声で答える。

「・・・・巻き込んでしまったことへの、謝罪です」

「・・・・」
「・・・・」

沈黙が続く中で、エースはため息を吐き、立ち上がる。そのままゆっくりと『ユウ』に近づいていく。それに対し少し反応した『ユウ』は、さっきまでならすぐに逃げていただろうが、今はじっとその場で頭を下げたまま、動かない。
コツ、コツ、コツ、とエースの足音が響く中、それはコツリ、と『ユウ』の目の前で止まる。スッとエースはその場にしゃがみ込み、下から『ユウ』を覗き込んだ。

「・・・まぁ、俺が巻き込まれたのは俺の勝手だ。お前ェが謝る必要はねぇさ。ただな、自分の命を軽く見てやがるのが、気に食わねぇ。なんであんなことしやがった?一歩間違えりゃ、死んでたぞ」

あんなに荒れた海の中、1人で小舟を出そうとしたのが、エースの琴線に触れたらしい。ぐっと下唇を噛み締める『ユウ』は、覗き込むエースの瞳の中に怒りの色があることに気づくが、尚も食い下がった。


「・・・・もし、死んでいたら、その時はそれが私の最後だった。それだけです。」


「・・・・」

「・・・・」

じっと互いを見つめ合う、否、睨み合うエースと『ユウ』。ピリッとした緊張感の中、キッパリと言い放つ『ユウ』に、エースはニッと笑った。

どんな言葉が飛んでくるか、と色々予想していた『ユウ』は、笑顔を見せるエースにポカン、とした表情を向けた。

瞬間、にゅっと出てきた逞しい腕に、『ユウ』はその小さな頭を取られ、バランスを崩し、そのままエースのもとに倒れ込む。
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