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—L'Oiseau Bleu— 青い鳥

第21章 狂気


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「ようこそ、いらっしゃいまほ」

「……いらっしゃいまほって…ニノ、何やってんの!?」


俺は、約束の場所“Lotus”に来ていた


「こんな面白い事、ライブで見なきゃ損でしょ」


何故かカウンターに入って俺を待ち構えていたニノは

そう言うと、俺に向かっておしぼりを投げつけた


「投げんなやっ!!(怒)」

「うるさいっ!!(怒)」

「これでも、セキニンかんじてるんだよ、ニノは」


ニコニコしながら相葉君が言う


ニノは智くんと仲が良かったから、どうやら智くんから今日の事を聞いていたらしい


「ありがとう、二人とも」


お礼を言う俺に、相葉君が床に落ちてしまったおしぼりの代わりを手渡しながら


「どういたしまして。今日貸し切りにしたから、ゆっくりしてってね」


といって、またニコニコ笑った


「…うん、本当に…ありがとう」

「ダイジョブだよ」


不安を隠しきれない俺に、相葉君が明るく声をかける


「おーのくんは、ああ見えて、ツヨイひとだから」

「…うん、そうだね…そうだよね…」


(…信じるって、約束したんだ…智くんが、信じてって…)


俺はおしぼりを握りしめた


(でも…やっぱり、心配…)


それでも智くんが心配で俯く俺に、ニノが呑気な調子で言った


「ま、アンタが行ってたら、間違い無くあの世行きだったろうけど」

「…お前さぁ」


—べちっ


再びニノが、俺の顔におしぼりを投げつける


「ってぇなっ!何すんだよッ(怒)」

「お前いうなっ!!(怒)」

「こらこら、おしぼりのムダ使いしないの」

「相葉君!突っ込むトコ違くね!?」

「黙れ撫で肩!!」

「てか、撫で肩関係なくね!!?」


カウンターを挟んで、ワイワイ言い合いをする俺とニノ


.

…だけど、ホントはそんな呑気なことやってる場合じゃなかったんだよね…


でも、まさか

俺たちがバカをやってるときに、智くんが大変な事になってたなんて


.


俺達には、知る由もなかったんだ


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