第21章 狂気
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(…ワカラナイ…オレハ、ナニヲシテイル…?
……コレハ、ゲンジツ…?)
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「!!!ッ……じゅ…んく…」
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気付くと俺は、智に馬乗りになって
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その、細い首を、両手で締め上げていた
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「…じゅ…く…」
智の美しい顔が苦痛に歪む
俺の手が、ギシギシと不気味な音を立てて智の首に食い込む
「…やめ……じゅ……は…はな……」
その首を締め上げる手は、確かに自分のモノなのに
まるで感覚がない
目の前で苦痛に呻く智の姿も
何か、遠くの出来事を観ている様だ
「……くる…し……や…だ……しょ…くん……しょぅ…く……」
「!!!!」
──オ前ガ
──他ノ
──誰カノ
──名前ヲ
──呼ンダ
「————!!」
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俺の中で
何かが、壊れた。
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「…渡さない…誰にも…それが叶わないなら……
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……お前を殺して、俺も死ぬ」
「……!!!///」
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智の眼が
恐怖に大きく見開いた
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