第17章 始まりの過去2
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季節は過ぎて
松本くんとニノは高校を卒業した
僕も高校の臨時講師のバイトを終えて、今は大学と夜のバイトに勤しんでいた
「ふあぁ…眠い…やっぱり、他のバイト探そうかな…」
「だから、俺はそうしろってずっと言ってるだろ」
高校を卒業してからも、松本くんは僕を追いかけるのをやめなかった
教授とは
相変わらず、つかず離れずな感じで…
僕は、もしかして本当は、本気で相手にされてないんじゃないかなんて、大人すぎる恋人に不安を抱いてた
そんな事もあって、僕は一途な彼に惹かれている自分を否定出来なくなっていた
「でもさ、自給めっちゃ良いんだもん。他のバイトでそんなに稼げるのないからなぁ」
「他のバイトで我慢しててよ、俺がそのうち養ってやるから」
「なんだ、それ」
僕が笑うと、彼は真顔になって言った
「本気で言ってんの
俺、絶対成功するから、それまで待ってて
智が、金の事なんか気にしないで絵を描けるように、絶対なる」
「…ばか言わないでよ///」
きっとまた、僕の顔はゆでダコみたいに真っ赤になってる
「智…俺、本気でお前の事が好きなんだ
こんなに人を好きになったの初めてだよ
頼むから、せめてあのバイトは辞めてくれよ」
真剣な彼の気持ちが…僕の胸を熱くする
「…わかった…
そんなに急には辞められないと思うけど、今月一杯で辞められるように、店長に話してみる////」
松本くんが僕の両手を握った
「ホンとに!?ありがとう!!」
「……どういたしまして////」
真っ直ぐな彼の想いが嬉しくて
その想いが…真っ直ぐなそれが…歪んでしまう事が起きるなんて…その時の僕は、思いもしなかった
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“その時”は
確実に、僕らの背後まで迫っていた…
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