• テキストサイズ

—L'Oiseau Bleu— 青い鳥

第17章 始まりの過去2


.


.


季節は過ぎて

松本くんとニノは高校を卒業した


僕も高校の臨時講師のバイトを終えて、今は大学と夜のバイトに勤しんでいた


「ふあぁ…眠い…やっぱり、他のバイト探そうかな…」

「だから、俺はそうしろってずっと言ってるだろ」


高校を卒業してからも、松本くんは僕を追いかけるのをやめなかった


教授とは

相変わらず、つかず離れずな感じで…

僕は、もしかして本当は、本気で相手にされてないんじゃないかなんて、大人すぎる恋人に不安を抱いてた


そんな事もあって、僕は一途な彼に惹かれている自分を否定出来なくなっていた


「でもさ、自給めっちゃ良いんだもん。他のバイトでそんなに稼げるのないからなぁ」

「他のバイトで我慢しててよ、俺がそのうち養ってやるから」

「なんだ、それ」


僕が笑うと、彼は真顔になって言った


「本気で言ってんの

俺、絶対成功するから、それまで待ってて

智が、金の事なんか気にしないで絵を描けるように、絶対なる」

「…ばか言わないでよ///」


きっとまた、僕の顔はゆでダコみたいに真っ赤になってる


「智…俺、本気でお前の事が好きなんだ

こんなに人を好きになったの初めてだよ

頼むから、せめてあのバイトは辞めてくれよ」


真剣な彼の気持ちが…僕の胸を熱くする


「…わかった…

そんなに急には辞められないと思うけど、今月一杯で辞められるように、店長に話してみる////」


松本くんが僕の両手を握った


「ホンとに!?ありがとう!!」

「……どういたしまして////」


真っ直ぐな彼の想いが嬉しくて

その想いが…真っ直ぐなそれが…歪んでしまう事が起きるなんて…その時の僕は、思いもしなかった


.


“その時”は


確実に、僕らの背後まで迫っていた…


.


.
/ 88ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp