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—L'Oiseau Bleu— 青い鳥

第8章 想い人


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(…智くん大丈夫かな…)


月曜日の昼休み

俺は智くんの事ばかり考えていた


まあ、大抵休み時間は智くんの事ばっか考えてるんだけど…


(松本くんと、どうしたかな)


嫉妬と言うより、智くんの事が心配だった

あの日、電話で…君は明らかに様子がおかしかった


「はあ、来週は、逢えるかな」


逢いたいな…


君の顔が見たい

今どうしてるのか心配だよ…

独りで泣いたりしてない?


智くん…


「はあ…」


俺は、携帯を取り出した


智くんは昼間は、公園とかで絵を描いて過ごしている事が多くて、絵に集中してる時は、滅多に電話に出ない


(電話…掛けても無駄かな?)


purururu...purururu...


「んどああっ!?」


いきなり手にしていた携帯が鳴りだして、俺は危うくそれを床に落としそうになった


「…あぁ〜ぶなかったぁ」


寸での所で拾い上げる


“大野智”


ディスプレーに待ちわびた人の名前

俺は慌てて電話に出た


「もしもし?智くん?」

『……』

「もしもし?智…くん?」

『……』


全く返事がない


「…どうしたの?どこか具合悪いの?…大丈夫?」

『……ぃ』

「ん?なあに?」


消えてしまいそうな声…


『……ぃ……ょ……』

「え?ごめん、智くん聞こえない…」

『……逢いたいよ…』


小さいけど、今度はハッキリ聞こえた


“…逢いたいよ…”


「どうしたの?なんかあったの?」

『…逢いたい…逢いたいよ…翔くん……逢いたいよ…』

「…智くん…」



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