第8章 想い人
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僕の呟きを聞いた潤くんが
当然だけど
自分に向けられた言葉だと思い、僕の腰を掴んでソレに答えた
「俺も愛してる…智…俺の智…!」
「はっ…Σあぁあああっ!!!////」
彼が僕の中に入ってきて
痛みと共に、逃れようもない快感が僕を襲う
「あぁ、智……愛してる…」
「んぁっ!……あぁあっ!!……あぁああッ!!////」
潤くんが、僕のナカを激しく突き上げる
快楽に慣らされたカラダが
僕の意志に反して、快感を訴えてビクビクと震える
それでも
僕の頭の中は、貴方のことばかり
(…潤くん、ごめんなさい…僕…僕は…)
翔くんを愛してるんだ…
(…翔くん…ごめんなさい…潤くん…ごめんなさい…)
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ほんの三カ月で、人の気持ちって変わってしまうものなんだね
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ううん…違う…
……そうじゃ、ないね
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時間なんて関係ない
…翔くん…貴方、だから…
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彼に縋って、ただ虚しい毎日を送ってた僕に
暖かい想いをくれた貴方だから…
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籠の中が全てだった僕に
大好きな青い空を思い出させてくれた
声をあげて笑うことを忘れてた僕に
心からたのしいって笑いをくれた
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…そんな、貴方だったから…
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(…翔くん…逢いたいよ…)
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…貴方に、逢いたい…
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思うままに僕を抱いて
潤くんは、“奥さん”のもとに帰っていった
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独りになった僕は
がらんとした寂しい部屋にうずくまって
声が枯れる程、泣いた
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ねえ、誰か…
…誰か教えて…
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どうしたら僕は、此処から抜け出すことが出来るだろう
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…誰かお願い…
この縺れた棘を振りほどく術を
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……教えて
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