第3章 煌帝国
少女side
……
…………
…………?
ここ、どこ……?
うっすらと目を開けた。
見たことのない天井が広がっていた。
スラムの家じゃない。家畜小屋でもない。
どこだろう。
なんか、高級そうな……
「あ、起きたー」
「!?」
「そんなびっくりしなくてもいいじゃーん。あ、まだ起きちゃダメだよ。安静にねー」
少年が、寝台の傍らに椅子を置いて座っていた。
小柄で華奢な体格。
紅い髪に紅い瞳。
間延びした口調。
口元に笑みを浮かべてこちらを見ている。
ふわりと、優しい香りが漂う。
あのときの、香り。
ボクを助けてくれたのは、この人……?
警戒しながらも、思い切って口を開く。
「誰、あんた。ここ、どこ?どうしてボクはここにいるの……?」
少年は軽く目を見開いてずいっ、とボクの顔を覗き込むような姿勢を取った。
反射的に体を守ろうと手を動かして、
「いっ」
激痛が走った。
「だからー、動いちゃダメだってばー」
「……っ、」
「にしてもお前、変わってるよねぇ」
「……はぁ?」
「だって女の子でしょー?なのに自分のこと『ボク』って、変わってない?」
そんなことほっといてよ。
「質問に答えて。ここはどこなの?」
「ここは煌帝国の宮殿だよー。で、僕は煌帝国第三皇子の練紅覇ってゆーの。よろしくねぇ」
煌の、皇子……?
トントン、と
ノックの音がした。