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【マギ】亡国の少女

第2章 出会い






「盗っ人猫は出ていきやがれ!!」
「人様の食べ物を奪うたぁなんだい、忌々しい」
「あたしの子供を飢え死にさせる気かい!?」


罵声と共に宙を舞う体。
衰弱しきった肢体は受け身を取り損ねる。


「い……っ」


地面は、硬い。冷たい。
容赦なく打ちつけられ、意識が遠くなる。
衝撃に目を閉じたまま、開けられない。
痛い。痛いよ。

どうして……?
ボクは、生きたいだけなのに……


奪わねば、奪われる。

与えられぬから、盗る。

一日生き長らえる毎に深く突き刺さる冷たい視線。


もう……
もう、限界……
このまま、死んでしまうの……?

ボクは、まだ、

まだ死にたくないよ……!

生きたいよ……

でも、おなかが空いて……

体中が痛くて、苦しくて……

眠くて……


「おーい、お前」


声が、聞こえた。

誰かはわからない。
少年のようだ。

誰と話してるのか知らないけど。

助けてって言ったら助けてくれるかな。

だけど、

口を開くのも、

目ぇ開けんのも、面倒くさいな……


「おーきーろーって。じゃーまーだー」


頬をぺちぺちと叩かれた。

……って、ボクに言ってたの……?

ごめんね、誰か知らないけど……ボク動けないからさ……

踏んづけて進んだらいいよ……

「――ねぇ、これ炎兄なら――」

えんにい……?

何の話……

意識が遠くなっていく。

考えるのも、めんどくさいや……

あぁ、もう駄目だ、眠いよ……


そっと、誰かの温もりを感じた。

ふわりと、優しい香りに包まれて。


おかあ……さん……


そして、ボクの意識は――



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