DIABOLIK LOVERS-My blood-
第17章 血雫 17
案の定だった。
皆のその行動の約10秒後といったところだろうか。リムジンが減速を始め、ゆっくりと揺れもなく停まったところは、学校の門の前。
ドアがゆっくりと開き、月明かりをバックに聳え立つシルエットが視界に飛び込んできた。
「お…大きい」
アヤトとカナトとライトに無理矢理連れ出されたユイが始めに口にしたのは其れだった。
まぁ、それはしょうがないと思う。現に私もそう思っていたところだ。
…流石、逆巻6兄弟が通うだけのことは有る。
生徒は皆、お嬢様やお坊ちゃまばかりなのだろうな…なんて考えてしまえば、本来なら一般市民である自分がかなり浮いた存在に思えてくる。
と、私は車内を振り返る。
「くーーーー……」
静かに寝息を立てているシュウさんが居た。
「ちょ、ちょっとシュウさん!!学校付きました!」
駆け寄って、彼の肩をツンツンとつついてみる。
…駄目だ、起きない。
耳元で叫んでやろうか…いっそイヤホンを…うーん…どうすべきか…
「あーっ!」
イヤホン外したら本気で怒られそうなので、耳元で叫んでやることにした。
シュウさんの左耳と左眉がピクッと動いた。
あ…起き……お、起き………ないんかい!
無駄に期待させるなああああ!
なんてことを思いつつ、今度はさっきより大声で呼んでみる。
「シューウーさーんっ!付きましたよー学校っ!起きてくださー…っ!?」
後頭部をガッチリと捕まえられ、グイッと引き寄せられる。
………チュ………
小さく響くリップ音。
訳が分からず、目を見開いて見る私の視界いっぱいに映る綺麗な顔。
「…っん、はぁ…あんた、五月蠅い…」
お互いの唇が触れ合うか触れ合わないかぐらいの距離離して、シュウさんが喋るものだから、私の唇にシュウさんの吐息がかかって、変な気持ちになる。
「なっ…何するんですか…いきなり…!」
今となっては後悔なんてしてないが、この時のショック度は、私の中で針を振り切るほど上昇していた。
何せ、好きでも無い人に、ファーストキスを奪われたのだ。
悲しくない訳が無い。
「何、あんた泣いてんの?」
言われる迄気づかなかったが、自然と涙が頬を伝っていた。