第9章 料理人
宿「裏梅、お前はもっと素直に過ごせ
無関心なフリをする必要など無い」
腹を抱えながら、昨日の裏梅は無関心なフリをしていた事を見抜いた宿儺はそう言った。
「別にそんなわけでは…」
宿儺から視線を反らし、裏梅は言った。
宿「まぁ良い。
長い付き合いになるだろうから、無理はするなよ。
あと、朝食は もう少し遅くて良い。
あすか が起きるのが遅くなったからな」
そう言い残して宿儺は台所を去った。
裏梅は3人分の お膳を準備し、3人で揃って朝食を食べた。
食事中、裏梅が口を開いた。
「宿儺さま、この辺りは猪か熊は居ますか?」
宿「熊は遭遇した事がないから分からぬが、猪なら居るぞ」
宿儺の返事に、裏梅は「分かりました」と答え、食事を再開した。
食事を終え、裏梅は宿儺に今日の予定を聞いた。
宿「今日は仕事も入っておらんから1日家に居るぞ」
「昼まで少し自由な時間をいただけますか?」
そう言う裏梅に、宿儺は「好きにすると良い」と言った。
ペコリ、と頭を下げ、裏梅は外に出掛けた。
『裏梅くん何処に行くのかな?』
心配そうに裏梅の後ろ姿を見送った あすか に、宿儺は「大丈夫だろう」と言った。
裏梅は2~3時間くらいで帰ってきた。
「ただいま戻りました」
その手には大きな猪。
『…え? 狩って来たの?』
自分と同じくらいの背丈がある大きな猪を軽々と片手で持って立つ裏梅に、あすか は驚いて そう聞いた。
「はい。これから分解して氷漬けにします」