第17章 東京卍リベンジャーズ・佐藤龍星&菱小次楼
四ツ谷の谷の底にある、弁天様の祠
入り口に咲く桜の木の下にしゃがみ込んで、2人の帰りを待っていた
少し離れた所から、三毛猫が金色の瞳を光らせてコッチを見ていて
『おいで』といくら呼んでも、警戒心が強いらしくちっとも近付いてきてはくれない
持て余した私は
また携帯を取り出し、時刻を確認した
『……pm11:00か……………ハァ……まだかなぁ………早く帰ってこーい…』
ひとり言を呟くと
すぐ側の池に亀が潜る小さな水音がポチャリと聞こえた
次の瞬間
「…アッハハハ……」
静かな路地に、耳馴染みのある笑い声が響いて
思わず口元が綻んでしまう
(……やっと帰ってきた…)
少し掠れた声で、上機嫌に喋っているのは
菱 小次楼[ヒシ コジロウ]
声変わりを済ませた低めの声で相槌をうっているのが
佐藤 龍星[サトウ リュウセイ]
ふたりは、私の幼馴染だった
黒い人影が石段を降りてくると
三毛猫はニャーンと一声鳴いて、池のある方へと逃げていく
ノロノロと立ち上がった私を見て、小次楼は少し驚いたような顔をした
「アレ?レイナ…」
『もぉ〜遅い。どこ行ってたの?2人とも…』
「どこって…その辺フラついてただけだよ」
背の高い龍星が苦笑いしながらそう言うと、小次楼が続ける
「来てるんなら電話すりゃ良かったのに」
『したよ?何度も。でも小次楼も龍星も全然出なかった』
「…ぁ……オレ…携帯、小次楼ん家だワ」
『ほらぁ』
「はぁ?…ったくしょーがねーな龍星は」
「ワリィ…レイナ」
済まなそうに謝る龍星を見下すように見上げながら
小次楼はポケットから携帯を取り出した