第10章 東京卍リベンジャーズ・三ツ谷隆
レイナは、アパートの隣の部屋に引っ越してくると同時に
転校生として学校でもオレと同じクラスになった
けれど
始めのうちはそれ程関わり合うこともなく
むしろルナの方が彼女にすぐに懐いて
外で会った時に挨拶をしたり話しかけたりしていた
下の妹のマナがまだ赤ん坊と呼べる頃で
目が離せない小さな命を預けられていたオレは
あまり周りの事まで気を回せるような余裕が無かった時期だった
ある日の夕方
ルナとマナを連れて公園へ行った帰り道
遊び疲れて眠くなってしまったルナがグズり出したことがあった
「…もぉ……ねむいよぉ…」
「……ルナ……転ぶから歩きながら寝るなよ?」
「おにーちゃん…だっこしてー」
「…ん……マナ抱いてっから、おんぶでいいか?」
「やぁだ。だっこじゃなきゃイヤ」
機嫌を損ねたルナは
繋いだ手を振りほどきその場に座り込んでしまった
「…分かった。マナの抱っこ紐、背中に入れ替えるから…チョット待ってな?」
「やー!まてない!」
「ルナ…すぐだからさ…」
「ヤダ!ヤダ!」
大きな声に驚いて
ウトウトしていたマナが泣き出した
「…ふぇーん…」
大声で泣き始めた2人を
道行く人達はみんな迷惑そうに見ていた
中には露骨に顔をしかめるような人もいたけれど
他人からどんな目で見られようが
オレは一切気にしていなかった
ただ
" これじゃあ…帰りに買い物するわけにいかないな…"
" 冷蔵庫にまだ食べ物あったっけ?"
そんな事を考えていた