第7章 東京卍リベンジャーズ・三途春千夜
「……行くぞ…」
『……』
「…春千夜クン……何か着せてやれよ…」
呆れたような蘭の声が一層神経を逆撫でする
「……チッ……黙ってろクソ野郎!………オイ、アンタ…服はどこだ…」
『……さっき…ここに来た時に……破かれて…』
「はぁ?………………チッ…」
オレは仕方なくジャケットを脱いで
女の肩にかけた
「…………靴は…⁈」
『……………ぁ……さらわれる前…家に居たから……靴は履いてな…』
「ぁあ゛〜〜〜‼︎」
気まずそうな女の言葉を遮って頭を掻きむしる
この時
オレは無性にイラついていた
「…どーした春ちゃん…おクスリ切れかぁ?」
「るっせーぞ蘭‼︎テメェは仕事済んだらさっさと帰れ‼︎」
「……兄貴……三途からかってないでもー行こーよ。……じゃないとそろそろ…」
竜胆がそう言った時
遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきた
「…ほーら来た。逃げるよ兄貴」
「お〜」
蘭と竜胆はあっという間に出て行ってしまった
「オイ待てよ蘭!竜胆!」
床に転がった何体もの銃殺死体と
目の前にいる半裸の女
サイレンの音は刻一刻と近づいてくる
「んぬあ゛〜〜〜〜〜‼︎クソが‼︎」
オレは女の身体を抱き上げ
全速力で走った
非常階段をかけ降り
車に乗り込む
エンジンをかけ、車が走り出して間もなく
パトカーが次々にすれ違っていった
さっきまで居たビルの周りを取り囲む赤色灯が
バックミラーの中で小さくなっていく
「………顔……出していいぞ…」
後部座席に身を隠していた女が
シートに座り直す
ミラー越しに目が合うと
怯えたように逸らされた
「…………チッ……」
オレはワザと大きな舌打ちをして
アクセルを強く踏み込んだ