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夢に見た世界【アイドリッシュセブン】【D.Gray-man】

第3章 爪先ほどの想い(i7)完


「すみません、今ちょっと取り込み中ですので、御用があれば後にして頂けると――」
「彼女への侮辱的な発言、撤回して頂けますか?」
 上司の言葉を遮ったその声は。
 落ち着いていて、なのに身がすくみそうになるような低い、今まで聴いた事のない。
 六弥さんの、声だった。
 私が振り向いて彼の顔を見ると、こちらが怒られているのではないかと思うような、冷たい目で上司を見ている。
 六弥さんが、私のために怒ってくれている・・・?
 嬉しい。
 なぜだろう、すごく、嬉しい。
 両親に心配されるのは、とても居心地が悪かったのに。
 不思議だ。
 悪い気はしない。
 むしろ幸せさえ感じるような・・・・・・。
 六弥さんは、遠い部屋の入り口から、上司の目の前まで歩いてきた。
 その瞳は、上司をじっと睨んだまま、視線を反らす事も無い。
 私は、ちらりと上司の顔を確認した。
 上司は、六弥さんの突然の登場に驚いているらしく。
 六弥さんから目を離す事もせず、ただただ棒立ちになっている。
 そういえば、今日は六弥さんはテレビ局に来る日ではないはず。
 でも、そんな事がどうでも良くなるほど。
 ちょっと、今の私は気分が良い。
 普段、この上司にはいつもこんな感じで言いたい放題言われているからだろうか。
 誰かに用事を頼まれない限り、私はそっと場所を離れる事も出来ない不器用な人間だから。
 この上司に一度捕まると、上手く逃げられないのが常だ。
「あなたの口汚く彼女を罵る言葉、一部始終、聞こえていましたよ。ワタシの友人に向かってそのような発言をするなんて、なんと運の悪い人なのでしょう」
 そして六弥さんが私の方を見て、ニコリと微笑んでくれた。
 なんだろう、なぜか六弥さんから、私に対しても小さな怒りのような物を向けられているのを感じる。
「カエデさん、安心して下さい。Doorの向こうにハダ氏が待っていて下さっています。アツサキ氏を彼に引き渡し、このテレビ局からおさらばして頂きますよ」
 おさらば、って・・・。
 ――変わった言葉を使うんですね。
 私が苦笑いしながら手話でそう返すと。
 六弥さんは「この言葉使い、気に入った?」と同じく手話をして、笑顔で話してくれた。
 あ、この笑顔は純粋に笑ってるだけだ。
 六弥さんが私の手話で笑ってくれた。
 嬉しい。
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