夢に見た世界【アイドリッシュセブン】【D.Gray-man】
第3章 爪先ほどの想い(i7)完
両親との面会が終わり、翌日。
気疲れを感じながらも私は出勤した。
――昨日は、あまり眠れなかったな。
両親に会って、二人から突然言われた言葉に動揺しているのだと思う。
(まさか、こんな私に結婚の話だなんて)
両親は私に会い、強く抱きしめるなり言った。
「喜んで、カエデ! お見合いの話が来たんだよ!」
晴れやかな顔の母と、穏やかな顔の父を思い出すけれど、私は実感が全く沸かずに居た。
だって、私に結婚なんて無理だと思っているから。
父と母は、何を考えているんだろう。
確かに、家事をするのは嫌いじゃない。
仕事をしながらでも出来ると思う。
それだけの事なら。
でももし、相手の人が子供を望んだら?
私のこの喉が、遺伝するかもしれない。
そう考えるだけでゾッとする。
私は子供を持ちたくない。
障害者の身で子育てなんて、絶対無理!
それに・・・・・・。
今の私の心の中には、六弥さんが中心に居る。
そんな心持ちで結婚なんて、相手の人に失礼だ。
分かってるのに。
――なんで、私、断れなかったんだろう。
両親の輝く瞳を見て、尻込みしてしまったのかもしれない。
私は、受けるよね? という母の問いかけに、ついいつもの癖で「はい」と答えてしまった。
私の心には、もう六弥さんが居るのに。
両親が紹介しようとしてくれている人は、私の知り合いだった。
詳しく言うと、幼馴染み、という言葉がぴったり当てはまるかもしれない。
彼は、幼稚園からの顔馴染みで、性格は穏やかなほうだった。
男女共に友達が居て、どちらにも好かれていて。
なのに当の本人は、一人で居る時間が好きだったりする。
高校からは別の所に通っていたけれど。
現在、彼――鷹取くんは介護職に就いているらしい。
手話も出来る、と両親は言っていた。
鷹取くんになら、私を任せられるとでも思っているみたいに。
条件としては、とても良いと私も思う。
鷹取くんなら、女性に暴力的にならないだろうし。
きっと温かい家庭を築いていける人だと思う、けれど。
その相手は、きっと私じゃ無くても良い。
誰が私の両親に、こんな見合い話を持って来たのか知らないけど、鷹取くんの意思はどうなのだろうか。
私と同じで、後ろ向きだったら、いいな。
そんな事を考えている内に、私はテレビ局に着いた。