第2章 新プロデューサーはイケメン
私が一番眼をつけたのは彼だ。
「ギャップがすごい」
「え?」
「十さん!貴方は三人の中で一番素晴らしいです」
「「は?」」
滲み出る包容力に、子供を安心させる笑顔。
そして何よりこのギャップ。
素晴らしい!
「ちょっと、何で天じゃないのよ」
「十さんは、ギャップがすごいです。子供をあやす時の彼はステージよりも良い。エロで売るなんて実の才能の無駄遣いです」
「えっ…そうですか」
確かに三人編成でエロ担当は必要だけど。
それ以上に素晴らしい物を持っているのになんて持ったないんだろう。
「非礼を詫びます。是非貴方をプロデュースさせてください」
「ちょっと!アンタがプロデュースするのはTRIGGERよ」
「はい…まぁギリギリ合格でいいですよ」
「おいぃぃ!」
「楽、君は不合格だよね。じゃあプロデュースはしてもらえないね」
「ふざけんな!次こそ完璧にしてやる」
「うわぁぁぁん!おじちゃん怖いよぉぉ!」
大声を出すせいで再びギャン泣きされる。
結局三時間過ぎても泣き止ませることはできなかった。
「とりあえず特徴は掴めました。音楽センスは九条さんが一番でしょう…状況把握も一番良い」
「え?」
「十さんは共演者に対しても配慮ができるし、運動神経が良い。子供達にも会わせて楽しいダンスができる。美味いだけのダンサーはつまらない」
「そっ…そうですか?」
「最後は…」
「俺はどうだ!」
期待を込める八乙女さんは。
「まぁ…」
「おい、俺の評価を言え!」
現段階では何とも言えない。
「直情的で短絡的、そして熱血漢」
「悪気地だろ」
「感情に左右されて、いざというときステージでミスを連発してしまう」
「そのままだね?楽」
「すごい!当たっている」
やっぱりそうなんだ。
まぁ、初めて会った時から直情的と思ったけど。
「けど、メンバーを引っ張り、トラブルに合った時は一番に壁となりメンバーを守る責任感はありそうです」
「え…」
「直情的なのは考え物ですが、一人ぐらいはそんな人がないと困ります」
ファイルを閉じ、姉鷺さんに渡す。
「今の所三人は合格でしょう」
「そう。それは良かったわ」
まぁ、今度は私が認められないとダメだけどね。