第2章 新プロデューサーはイケメン
三人を連れて来た場所は。
「うぇぇぇん!」
「ママぁぁぁ!」
子供が泣き叫び、暴れまわる。
ここは駅前にある託児所だったが、ほちんどが三歳から五歳の女の子が集まっている。
「おい、何だよここ」
「託児所です」
「そんなもん見れば解る!何で俺達はここにいるんだ」
「今からあの子達を三分以内に泣き止ませてください」
「「「は?」」」
三人は素っ頓狂な声を上げる。
「歌うのも良し、ダンスを踊るのも良し、口説くのも良し、下僕に成り下がるのも良し」
「最後の方はないだろ!」
「楽、落ち着いて!」
一人沈黙を守る最年少の彼はただじっと見ている。
「ここには君達を知る人はいません。そんな中でファンを作ってください。アイドルとはその人の人生を変える者…この程度できないんじゃ三流です」
「くっ・・やってやる。こんなの楽勝だ!」
そう言い放ち突っ込んで行くも。
「おじちゃん怖いよー!わぁぁぁん!」
「おじちゃん…」
速攻で拒絶され、おじちゃんと呼ばれ撃沈。
「はい、三秒で失格。罰として今から乳児のオムツ交換」
「はぁ!」
「失敗することにペナルティーです。次間違えたらおねしょの布団を手洗いです」
「てめぇー…」
睨まれても怖くないし痛くも痒くもない。
「子供を甘く見ないでください。彼女達はお母さんが働き、一日中寂しい思いをして泣いているんです」
「そうか…あの子達は悲しんだね」
「泣いている女の子の涙も止められないなんて男失格ですよ」
「…何故かしら。説得力あるわね。しかもかなりイケメン発言」
ありがとうございます姉鷺さん。
「天、どうするんだ?」
「いいから見てて」
九条さんは玩具のピアノを取り出し、泣いている女の子の傍でピアノを引き出す。
「ふっ…ママ!ママは何処…」
ただ泣き続ける女の子に童話の子守歌を弾き始める。
「うさちゃんの子守歌!」
「そうだよ、うさちゃんの子守歌。一緒に歌おうか?ママは何時も弾いてくれているのかな?」
「うん、ママは何時も弾いてくれているの!」
持ち物を見て瞬時にあの子の好きな子守歌を見抜いた。
しかも一緒に歌うなんてやるわね。
「きゃっ、きゃっ!高い…パパより高い」
「流石龍ね、子供の扱いが上手いわ」
九条さんも悪くないけど。