第4章 第四章音楽の申し子
私は幼い頃から音楽の勉強をしていた。
息をするように音楽に慣れ親しみ、あしながおじさんからの支援を受けた後に養子縁組をしてもらった。
三歳から音楽を学び、中学を卒業すると同時に海外に連れていかれ、ノースメイヤに留学した。
留学先で音楽を究め歌姫として活動をしたのもあの国だ。
吟遊詩人とおとぎの国と呼ばれる程に美しい国を彼は愛していて、ある事件をきっかけにその国に長期滞在する事になった。
彼が愛してやまないアイドルが消えてから。
必死で探し回る中、体調を崩して療養をしながら、ノースメイヤに留まった春樹は親戚のお店でピアノ演奏をしていた。
私はというと歌姫として脚光を浴びる最中、病気で歌えなくなってしまった事により夢半ばで断念してしまった。
そんな私に声をかけてくれたのが今の雇い主でもあり上流階級では名のある人だった。
その人に執事としての才能を見初められ、ノースメイヤの王立学園を卒業してすぐに執事学園(アカデミー)に入ることを余儀なくされた。
どの国でも執事になるにはそれなりの年数が必要だが、ノースメイヤの王立学園は飛び級制度があり、才能と技量が認められれば一年で卒業も可能だった。
まぁ、他民族の血。
しかも日本人の血が入っている事で散々罵倒され馬鹿にされ、蔑まれて来たけど。
この程度でへこたれることはなかった。
全てはこんな私でも必要と言ってくださった旦那様の為に。
そして私の養父に仕えていた有利が傍にいてくれたからだ。
彼は春樹に仕える執事だった事から養女に迎えられた私をお嬢様として仕えてくれた。
後から解った話だけど、生後間もなく捨てられた私を修道院の院長先生が拾い育ててくれた後に、春樹が私に援助をしてくれたのだ。
その後私はお嬢様であることが判明して、佐伯家。
つまり、母方の父に迎えられる事になった。
佐伯家は多くの侍女や執事を輩出して来た名家だった。
その昔執事とは平民なら誰でもなれるわけではなく。
昔でいう中級階級・ブルジョワージの家の長男だけがなれる職種とも言われていた。
今でも王政である国は執事は存在する。
特にイギリスではその体制が残っているので、下級貴族でも執事として功績を残した男性もすくな無かった。