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私ただの執事でございます!

第3章 第3章希望の欠片




子犬に餌付けをしてしまっただろうか?


「マスター、貴方も罪なお方ですね。今度は大型犬に餌付けですか」

「いや、そんなつもりは…」

「はぁー」

やっぱり有利からしてもそう見えるのだろうか?
十さんも犬のようだと思う所があるのかな?


「別にかわいがるのは良いですが…深入りし過ぎると彼が気の毒ですよ?」

考えなしの行動に少しだけ反省する。
私はどうも他人との距離感がおかしいのだと前に言われたのにまたしくじったのかもしれない。


「ノースメイヤでも痛い思いをしたと言うのに、日本に帰国してすぐに、しくじったのです。二度あることは三度あると言いますし」

「古い話を持ち出したわね」

「心配なんです」

有利は私の補佐として、ずっとサポートをしてくれていた。

だからこそ口うるさくも言うし、心配もしてくれている。
私の兄貴分のような存在で兄代わりでもあるからこその言葉だ。

「流離のプロデューサーは一か所に留まるのは危険すぎる。またあの男に目を着けられたら」

「鷹匡はそんなことはしないよ」

「マスターはあの男を信用し過ぎだ!あの男が貴女に何をしたか!九条は貴方に不幸しか与えない」

「有利…」

今でも彼を憎み恨み続ける感情が嫌でも伝わる。

「聞けばその息子のプロデュースもするなんて…私は今でも納得できません。あれと関われば必ず貴女は傷つく、九条は貴女の誇りを傷つけ矜持を汚した男だ」

ズキンと胸が痛む。

過去の出来事は私の中で消化しておるのだけど胸がキリキリ痛む。


「だとしても、今の私は過去があるからこそだ」

「俺は死んでも許さない。貴女とあの方を苦しめたあの男を」


優しい有利。

誠実で真っすぐで思いやりのある彼は今でも私の事で苦しんでいる。

それが申し訳なくて悲しくてしょうがない。


でも、何時か解って欲しいと思うのは私の傲慢だろうか。



――春樹。

私は幸せになれる道を見つけた。
今すごく幸せなのに、時折昔を思い出しながら胸のあたりが寂しくなるのは何故だろう。


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