第3章 第3章希望の欠片
【龍之介side】
俺の中で色々吹っ切れた気がした。
「最近調子いいね龍」
「え?そうかな」
「今までは女性絡みだとあたふたしていたのに…余裕ができたっていうか」
「そうかな」
今までは天がフォローしてくれていたから。
でも、千早君の言葉がすごく嬉しくて、頑張ろうと思えた。
他の二人に劣等感を抱いていたのに、俺を選んでくれた事が嬉しかった。
何より俺自身を壊すなと。
大事にして欲しいと言ってくれたのが嬉しかったんだ。
後から知ったけど、Oceanの社長は俺がセクシーでも女好きでもないことを早い段階で見抜いていたらしい。
その上で俺にモデルを頼んだとか。
嬉しかった。
本当に――。
「何かあった…」
「このクソプロデューサー!」
「またやっているね」
そんな時だった乱暴に扉が開き、歌のレッスンが終わったと同時に楽はプンプンに怒っていた。
「まだお元気があるようですね。空気椅子三時間お願いします。肺活量が弱すぎます。九条さんよりも身長も体格も良いのに…はぁー」
「ため息つくんじゃねぇよ!俺が天より肺活量が少ないっていいたいのか?」
「少ないというか…ないですね」
「表に出ろぉぉぉ!!」
相変わらず楽は掴みかかって怒るもさらりと交わすのがすごい。
「千早君!」
「はい十さん。最初の前撮りお疲れ様です。先方さんが喜んでいらっしゃいましたよ…素敵だったと」
「え?本当」
「ええ、流石です」
スタジオで前撮りをした時は少し緊張したけど、喜んでもらえたのならすごく嬉しいな。
「ありがとう千早君。君のおかげだよ」
「貴方の実力です」
違うよ。
あの時君が言ってくれた言葉が俺に勇気をくれた。
初めての大きな仕事。
本当は自身もなかったのに、現場では君はずっと付き添ってくれて不安を和らげてくれて嬉しかった。
「俺、君の為に頑張るよ」
「「は?」」
「いや、ファンの為でしょう?」
勿論ファンの為に頑張りたいけど。
でも一番は君の為に頑張りたいんだ!