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私ただの執事でございます!

第3章 第3章希望の欠片





二人を無視して私は直ぐに有利に連絡を取る。
事務所の裏に車を待たせているのですぐに出られる手筈になっているはずだった。


のだが――。

「お待ちしておりました」

「は?」

何故か待機していた車はロールスロイスの新型。
古いデザインでも軽く五千万はくだらない金額だったがこれは、新型なので三倍の値段はする。


「有利…」

「申し訳ありません。こっそりポルシェでお迎えにくるはずが…」

「いや、目立つし…司と柊まで来てたの?」

後ろの席に乗っている二人を見て頭を抱える。
これじゃあ、何のために有利を呼んだのか意味が解らないじゃないか。


「あの…彼等は」

「お初にお目にかかります私は、千早様の補佐をさてていただいております。日下部有利とお申します」

「私は月宮司と申します」

「柊北斗と申します」


「あっ…十龍之介です」

明らかに困惑しているが時間がないのですぐに十さんを乗せて移動することにした。



「は?龍と佐伯?」


そんなやりとりをばっちり見られていたのは知る由もなくいたのだが、今の私は数日後のCMに事しか頭になかった。




「あの…何処に行くんですか」

「勿論行くのはOceanの本社」

「えええ!」


まずは敵情視察に向かうのは基本中の基本。

「敵を知ってこそ勝利できるのだから」

「敵って…そんな」

「まぁ、大袈裟な言い方をしましたけど。Ocean会社を良く知り、スポンサーが貴方に何を望んでいるかを知るべきです」


ただ言われたとおりのイメージだけを演じるのでは意味がないのだから。



「十様、よろしければどうぞ」

「え?お酒ですか?」

「お仕事中ですのでノンアルコールのシャンパンでございます」

「うわぁー…本格的」


気を利かせた柊がシャンパングラスにノンアルコールのシャンパンを注ぐ、ハイビスカスを飾り付ける。


「美味しい…」

「ありがとうございます。私はソムリエの資格も持っておりますので」

「え、そうなんですか!」

「私は佐伯様の給仕を担当させていただいておりますので嗜みでございます」

「はい、余計な事は言わない」

柊は終始笑っていたが、私からしたら気が気じゃないわ。

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