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私ただの執事でございます!

第3章 第3章希望の欠片





音楽は偽りを言わない。
曲を作る者、歌う者は言葉に出せない思いを代弁してくれるのがそれなのだから。


「八乙女社長、私は彼等のプロデューサーとなる条件として、彼等のプロデュースに一切の指図は受けません」

「貴様!」

「貴方はこの事務所の社長ですが、彼等を傍で育てるのは私の役目。花が咲こうとする前に踏みつけるなら…


    許しませんよ?」


「っ!」


私はできるだけ穏やかに過ごしたいから問題は起こしたくない。

「貴方のこれまでの所業にどうこう言う気もありませんし、興味もない。だけど、私の手の中にある以上、タレントを物のように扱う事は許しません。特に彼は今大事な時です」

「千早…あんた」

「今回だけは見守ってください。そして彼の事をもう少し長い目で見てあげてください…花が咲く前に潰してしまうのはあまりにも惜しい。彼はメンバーの中で一番の伸び盛りです」


まだ完成されていない十さんには数多の可能性がある。

二人にはない素晴らしい魅力が。

「この仕事で、中高年をターゲットにファンを増やして見せます」

「若い世代ならともかく、中高年を!」

「彼ならば可能です」

「できなければ、それ相応の覚悟が待っていると思え」


私は勝負に負けるのが大嫌い。
だからどんな時も真剣勝負で受ける。

勿論負けるような勝負に挑む気はないし。

成功する見込みはある。



「そんなわけで、貴方の成功に私のクビがかかってますのでよろしくお願いします」

「えええ!」

「ちょっと!君、正気なの!」

「お前、馬鹿だろ?本当に馬鹿だろ?馬鹿じゃねーか!」


楽屋にて、私は今回の事を話すと十さんは唖然としていた。

「まぁ、深く気にせず楽しめばいいんですよ」

「いや、無理だよ!」

「そんなわけですから、まずは準備に行きますよ」

慌てる十さんは本当に謙虚な人だ。
それが彼の良い所なのだけど。


「こいつ、人の話を全く聞いてねぇぞ」

「それより僕達を無視するの止めてくれる」


外野が煩いの少し煩わしさを感じる。

「十さん、そろそろ迎えの車が来ますので支度してください」

「あっ…はい」

しょぼんとする十さんは申し訳なさそうな表情をされてしまった。

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