第3章 第3章希望の欠片
「社長、落ち着いてください!」
「離せ姉鷺!」
暴れる社長を姉鷺さんが必死で抑え込む。
この二人は良いコンビだと思わざるを得なかった。
「無駄口を叩く暇があるならば、次の売り込みを」
「ちなみに次の仕事は十さんにソロで仕事です。大手化粧品会社、Oceanのイメージモデルです。常にもぎ取ってあります」
「「は?」」
大手系商品会社、Oceanはその名の通り海を意味する。
本社は日本であるが品質の良さからアメリカでは爆発的に人気があり、特に今はシャンプーを売り込んでいる。
「新作のシャンプーのイメージモデルは真夏の太陽。彼にぴったりだと思いますよ?しかも、社長は沖縄出身で、故郷の愛が強い方…そこに沖縄出身の彼を付き添わせたら即専属モデル決定です」
「それを早く言わんか!」
「なんて抜け目のない…」
この程度は営業の基本だわ。
東京で活躍する実業家は、故郷への愛情が強い。
特にOceanはハイビスカスをシンボルにしている事から、故郷を大事にしている気持ちが溢れている。
「何故私に言わなかった」
「Oceanの社長は貴方を毛嫌いしていますので」
「は?」
「業界で女癖が合悪く愛人を多く抱えていると黒い噂が多い社長を真面な女性なら身の危険を感じますよ」
「貴様は私を侮辱する気か」
「一般論ですよ。噂はどうであれ、Oceanの社長は潔癖症だというのは商品を見れば解ります」
Oceanの化粧品は全て女性をより美しくさせるものであるが、ただ見た目だけを美しく見せる物ではない。
しかも材料にはオーガニックだけを使い、体にいい物を使うあたりが消費者への愛情に溢れている。
「社長自ら製品に携わるぐらいです。イメージモデルも拘るでしょう?そういう方は見た目だけのアイドルを嫌悪する傾向が強い…逆に役者等の芸術家を好む傾向にあります」
アイドル戦国時代と言われるも、未だにモノづくりをする芸術家はアイドルに対する評価は良くないのだ。
だからこそ、その根底を覆す必要がある。
「世渡り上手なタレントなんて意味がありません。真心を持って接することも時に必要ですよ」
「お前は馬鹿か!イメージを潰す気か」
「彼の魅力は見る人が見れば解りますよ」
セクシーで売っている十さんの内面を知っている人は知っているのだから。