第2章 新プロデューサーはイケメン
【龍之介side】
本格的にレッスンが始まったけど。
今までよりもハードだった。
「あの鬼が…」
「情けないね楽」
「そういうお前だって、息切れてんだろ!」
既に汗まみれだった。
ダンスのレッスン以外でここまで息切れするなんて初めてだ。
「何で彼はケロッとしているんだろ」
「あ?」
「だって僕達三人のレッスンでぶっ通しで声出してたのに」
「そういえば…」
俺達は各自ローテンションでレッスンしている間、佐伯さんはぶっ通しだ。
しかもその合間に先生と打ち合わせをしていた気が。
「彼、今日渡された楽譜を初見弾きこなしていたよね」
「はぁ?何だと」
「うん、俺達の声も一度聴いたら癖を見抜いていたし…スパルタだけど教え方が上手い」
言い方は悪いけど、ボイストレーニングの先生よりも教え方が適格だった。
「明らかに彼は多くのタレントを指導している」
「腕は確かって事か?無名じゃないのか」
「ただ、これだけ技術があるのに業界では来たことがないのは変だよ」
「ああ…」
俺も気になってた。
#NAME2#千早って作曲は調べても出てこなかった。
「もしかしたら芸名が違うとか…外国で活動していたのかな?」
「その点はありえるね…まぁ調べてみないと解らないけど」
「こうなったら、あの男の本性を暴いてやる」
「ちょっと楽!」
楽、まだ怒ってたんだね?
しかもさりげなく根に持っているし。
喧嘩にならないといんだけどな。