第2章 新プロデューサーはイケメン
店に戻ると既に閉店の準備をしていた。
「千早さん?そちらのお嬢様は」
「怪我をされている。着替えと救急箱にお茶の準備を」
「かしこまりました」
有利は何も聞かずに準備をしてくれた。
「お嬢様、腕に内出血があります。膝からも血が出ていますので治療させていただきます」
「えっ…そんな悪いです」
「お気になさらずに」
見てしまった以上は放っておけない。
「お召し物の用意ができました」
「では、こちらを。汚れてしまってますし…その恰好では」
「あ…」
スーツが泥だらけなのに気づ急いで隠す。
「奥のスタッフルームでお着換えを」
「あっ、ありがとうございます」
申し訳なさそうにしながらも着替えに向かた。
その間に服の汚れを取り、破れたストッキングも縫い直した方が良い。
「マスター、先ほどのお嬢様は…」
「達の悪いナンパに連れ込まれる寸前だった」
「最低ですね」
自分よりも弱い人間を力で抑え込むなんて最低だ。
「あの…私には大人っぽ過ぎる気が」
着替え終わったお嬢様を見ると、やはり思った通りだ。
「美しいですよお嬢様、折角ですから髪も結いましょうか。よろしいですか?」
「はっ…はい」
綺麗な髪で編み込みにするとすごく印象が変わりそうだ。
「いかがですか」
「素敵…」
「お気に召していただけて光栄です。さぁお茶をどうぞ」
「えっ…」
怖い思いをされていたので紅茶は蜂蜜入りにして、スイーツはミルフィーユにしてみた。
「すごく綺麗」
「お嬢様の為に用意したものです。どうかお召し上がりください」
「はっ…はい」
戸惑いながらも食べてくださって良かった。
最初は表情が硬かったが、どんどん柔らかくなり安堵した。