第2章 新プロデューサーはイケメン
二足の草鞋を踏むことになったが、仕事上は問題なかった。
「マスター、店の方は我らにお任せください」
「そうですよ。あの男から報酬を搾り取ってください」
スタッフ一同、八乙女社長に対して嫌悪感しかないようだ。
まぁ脅してきたのだから仕方ないけど、でも倍にして返したら良しとしよう。
「でも、八乙女社長は顔が広い。上手く行けば宣伝もできるし顧客を増やせるかもしれないね」
「流石マスター!転んでもタダでは起きませんね」
「そうですよね!使える物は使いましょう」
元気になった皆を見てほっと安堵する。
「しばらく店の方は迷惑をかけるけど」
「問題ありません」
本当に優秀な部下がいてくれて嬉しいよ。
「買い出しに行ってくる。後は頼むよ」
「はい、いってらっしゃいませ」
有利に店を任せて買出しに向かう。
もう暗い時間で街灯も付き始めている。
「夏ももう終わりだな」
買出しを済ませ、店に変える途中。
「やめてください!離してぇ!」
「いいから来い!」
女の子が車に無理矢理連れ込まれようとしていた。
全く、男のすることじゃない。
「いいから…ぐぁ!」
「今すぐこの場から立ち去るか、息の根を止められるか、警察に通報されるかどっちがいいですか?」
「何だ…もご!」
「それとも口を塞がれたいですかね?」
デザートに使うリンゴを口に放り込む。
「女性に乱暴するなんて男のすることではありませんよ」
「もごもご…」
そのままリンゴを取ろうとするも橋の近く。
バシャーン!
自業自得だ。
自分で皮に落ちるとは間抜けな男め。
「お怪我はありませんかお嬢様」
「へ?お嬢様…」
「怪我をされていますね。失礼します」
ストッキングも破れているし、折角のお洒落なスーツも汚れてしまっているのでこのままにしておけなかったので。
「きゃああ!」
「少し御辛抱を」
お姫様抱っこで店に戻る事にした。