第1章 ぽっちゃり彼女
「内緒ってわけじゃないよ…ちょっと、不安だっただけ」
「不安?」
何に?
と首を傾げた俺に、美穂子は小さくため息をついた。
「修兵のこと」
「俺?」
え、何。俺って美穂子に不安与えちゃってんの?
ちょっとびっくりして、美穂子のほうに視線を向けると、すぐに前方の信号が青に変わってしまって。
俺は視線を前に向けた。
「だって……修兵、イケメンだし」
「は?」
「私…デブだし」
「えーっと……何の話してんだ?」
いきなり、イケメンとか言われた。
なんか嬉しいな、美穂子に言われると。
けど、いまいちわからなくて。
首を傾げると、美穂子の眉がぐぐっと寄った。
「だから! ……私、自分に自信がないって話を一護にしてたの。修兵が私のこと大切にしてくれていることは知ってるけど、その…自分に自信がないから不安だなぁって…」
もごもごと言葉を濁す美穂子に、俺は目をぱちくりさせると笑った。
つーか、お前。ちょー可愛いんですけど。
「で?一護はなんて?」
「…気にするな、って」
「まぁ、その通りだな。そこに付け足すなら、俺。美穂子以外の女に興味ないし、美穂子は超可愛いって思ってるし」
「そ、それは…目が腐ってる…と思う」
自信満々に答えたのに、腐ってるって!ひでぇ!
俺は肩を落として、近くのコンビニの駐車場…ちょっと店舗から遠いところに車を入れた。
「コンビニ寄るの?」
「いや。美穂子」
「え、えぇ?」
エンジンはそのままで、美穂子のほうに顔を向けると美穂子は首を傾げた。
「不安、取り除く努力を彼氏様としてしておかねぇと」
「…………」