第1章 ぽっちゃり彼女
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私はその頃、大学に来てた。
このところ就職活動が忙しくて、なかなかレポートが出来なくて。
今しがた、教授に提出してきたところなのだ。
土曜日だと言うのに、わざわざ大学に来なくちゃいけない状況が悲惨だと思いながら、校門の前で待機。
だって、今日は彼氏と久しぶりのデートだもん。
就活のおかげで、最近はすれ違いばかり。
まぁ、就活は今の時期だけだから…仕方がないんだけど。
ぼーっと校門横の塀に寄りかかっていると、ふと見知った髪の色が目に入った。
「あれ、美穂子?」
オレンジの髪に、ブラウンの瞳。
同じ大学に通う、数少ない男友達だ。
「一護。珍しいね、休みに大学に来るなんて」
「あー…ゼミのレポートを出しにな」
一護もどうやら就活の都合でレポートを提出できていなかったらしい。
なんだ、同じような奴結構いるんだ。
私は少しだけ嬉しくなって、私もーと返事をした。
「で、こんなところで何してんの」
「お迎え待ち」
「檜佐木さん?」
「うん」
へーっといいながら、少し眉を潜める一護に私は首をかしげた。
なんか、少し機嫌悪い?
いつもより、眉の間の皺が多い気がするけど。
「檜佐木さんと、まだ続いてんだな」
「…縁起でもないこと、言わないでよ…」
それじゃなくても不安なのに…と続けると、今度は一護が首を傾げた。
「不安?なんで?」
「だって…イケメンとデブ、お似合いとはいえないでしょ」
「デブ?誰が?」
「-……私」