第20章 【第十六講】『やっぱり』猫『が好き』
午前八時三十分。
ホームルーム開始のチャイムが鳴る。
普段ならばすぐに担任である銀八が現れるが、今日はなかなかやって来ない。
教師が来なければ、大概の高校生は騒いだまま。
常軌を逸した3Zの生徒も、その例からは漏れない。
「てめっ! また私のタコ様ウィンナー食いやがったな!」
「オ前ノモノハ俺ノモノ、俺ノモノモ俺ノモノ!!」
「どこのガキ大将だてめェェェ!!」
早弁をしていた神楽がキャサリンにおかずを取られて激怒している。
怒号漂うそんな中、○○はゆるりと読書をしていた。
今日も○○は時代小説、幕末の小説を読んでいる。
「先生、来ねーな」
「土方くんは何しに来たの」
紙面から目を離すことなく、○○は言葉を返す。
「気にならねーか?」
「何が」
「やる気のねー先公だけど、遅刻することはそうないぜ? 事件かもしれねー」
「何の事件?」
土方は一生懸命話しかけるが、○○は素っ気ない。
「今日は健康診断だろ? □□のスリーサイズ知るために何か企んでるとか」
「ねえ知ってる? 同級生間でもセクハラって言うんだよ」
○○はパタンと本を閉じた。