第15章 【第十一講】帰ってきた史上最強最凶最恐ヤンキー
「山崎も向こうの事件解決に動いた方がいいんじゃないの?」
「いえ、油断は出来ません。何せ、あの高杉ですから」
放課後にわざわざこうして監視しているのも、それだけ警戒しているからだ。
過去に高杉が起こした事件について、○○も近藤や土方から聞いている。
喧嘩、恐喝、カツアゲ、器物損壊――銀魂高校入学以来、様々な悪事を働いているという。
それだけに、風紀委員の面々には、奴の静かさは嵐の前の静けさに思える。
「でも、ここで無駄な時間を費やすくらいなら、山崎にもステッカー事件の方を調べてもらった方が有益でしょ」
「やっぱり、難航してるんですか」
「うん。大人数の犯行グループってことぐらいしかわかってない」
銀魂高校周辺では今、別の重大事件が起きている。
当初は近藤や土方も折を見て高杉の様子をうかがいに来ていたが、今では頻度がめっきり減っている。
剣道の休憩がてら、○○がやって来る以外、風紀委員の出入りはほぼない。
「高杉はつきっきりでマークしなくても、問題起こしたら対処すればいいんじゃない?」
「○○さんは奴の怖さを知らないから、そう思うんですよ」
○○は高杉一派のことは何も知らないが、銀魂高校の生徒からは恐怖の的となっている。
興味はあるが、関わりたくはない存在。怖いもの見たさという人間の心理を射ている存在である。
「目が合っただけで、普通なら逃げ出しますよ」
眼光鋭い高杉の隻眼。相手を委縮させる刺すような目。
因縁をつけられる前にと、目を逸らせて逃奔する人が大半だ。