第9章 宮侑

治side

「好きやけど付き合えんってどういうことやねん！！」

「今日は荒れてんねー」

「ゆいながそないなこと言ったんか？」

「言った、俺のこと好きなのに振るってなんなん！？治なんか聞いてへん？」

「……いや聞いてないわ」

「今の間なんやねん！！」

「俺は侑が好きやから付き合えんって言われて振られたわ」

「せやろ！好きやろ！なのになんで俺のことも振るねん！！」

侑から話を聞いて俺はもう一度ゆいなを呼び出した

「どうしたの？」

「どういうことや、侑振ったってどういうことや」

「聞いたの？」

「なんや、ツム好きやなかったんか？」

「好きだよ、でも付き合えないの」

「なんや、その程度なんか？侑好き言うたやんか！なんでツムを振るん？」

別にツムを庇いたいわけやない

ただ両思いやのに付き合わへんのがよう分からん

俺が振られた理由はツムやろ

なんで幸せそうにしてないん？

ゆいなに幸せになってほしいのに

なんで侑を振るん？

「だって……だって…侑のファンは治のファンと違って過激な人多いでしょ！私はそれに耐えられる自信ないよ！」

「そんなもんわからんやろ、侑のファンにも遊び程度にしか思ってない奴もおるやんか」

「そういうことじゃないの！……怖いの、否定されるのも、認めてもらえないのも全部怖い、自信がないの！治…わかってよ…」

そうや1番苦しいのはゆいななんや

好きやのにこの想いに蓋をしなあかんこと

俺はゆいなの気持ちを受け止めるしかないやんか

「…でもそれでいいんか？」

「…侑はすぐに変わるから…きっと新しく好きな人ができるから、辛いけど…それでいい、私がこうしちゃったから」

「せやけど、もったいないやんか。せっかくの両想いやのに」

「……ね、嬉しいのに苦しい…」

なんでそんな苦しそうな顔するん？

そんな顔するんやったら付き合えばええやん

ゆいなはひとつ間違っとう

「ツムは諦め悪いで、宮侑はゆいなが思っとるほど諦めよくないで」