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あなたなら誰を選びますか

第9章 宮侑


「「ゆいな、行ってくるな」」

双子の声に続くように

選手たちみんなが私に

「行ってきます」

と声をかけてくれるから

私は笑顔で

「いってらっしゃい」

と送り出した

がんばれと願うしか私にはできない

悔しいけど

試合してるみんなはかっこよかった

北さんが入ると

チームの雰囲気は変わる

私が何より信頼してるのは北さんのプレー

特別上手いわけじゃない

あんなバケモノたちといたら埋もれてしまう北さんだけど

練習でやったことはちゃんとやる

失敗しない、だからこそ信頼できる

焦るな、みんなを信じろ百瀬ゆいな





白熱した試合は終わった

結果は稲荷崎が負けた

「「ありがとうございました!!」」

両者の声が響く

侑は称賛の声に不満がな顔を見せる

侑は結果が大事な人だから

負けたのに称賛される意味がわからないんだと思う

いい試合を見せてくれた

すごいプレーをした

今まで頑張ってきた

その過程に私たちは称賛をするんだよ

「みんな、お疲れ様です。最高の試合でした。もっと言いたいことたくさんあるけど今言うと私泣いちゃうから…また着替えたらでもいいし明日でも夜でも言わせてください」

みんなも同じ気持ちみたいで

涙を堪えていた

「「北さん!!」」

「「す、すんませんでし…」」

「謝ってスッキリしようと思っとんのか」

「「!?そんなんちゃいます!!」」

「わかってるて…けど謝んのはホンマに悪いと思うときにしいや」

北さんの言葉冷たいようで優しくあったかくて正しい

私は必死に顔を上げた

「どや俺の仲間すごいやろってもっと言いたかったわ」

みんなの目に涙がたまる

「言ってくださいよ」

「孫の代まで自慢できる後輩になりますから」

「それは楽しみやな」

笑う北さんの近くで涙ぐむ選手と真剣な表情の選手たち

私は涙が零れ落ちていた

「北さ…っ」

「ゆいなもよう頑張ってくれた、ホンマありがとうな。ノート一旦返したけど引退するときにもらってもええか?」

「もちろんですよっ…北さん本当にありがとうございました。
3年生の皆さん、本当に…本当にありがとうございました!!
そしてお疲れ様でした!素敵な時間ありがとうございました」
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