• テキストサイズ

~あさきみじかしゆめ~ 銀魂短篇集

第5章 河上万斉《聖夜の謀》※高杉の恋人/裏切り


「だったら、私の前でつけてることないじゃない」

 ○○は手を伸ばし、万斉のサングラスを剥ぎ取った。
 万斉の素顔を見た○○は、眉間に皺を寄せて首を傾げる。

「普通の顔だし、つまんない」
「どんな顔だと思っていたでござるか」

 万斉は○○を見つめた。
 正面から、瞬きもせずにジッと見続ける。
 ○○は視線を逸らした。

「サングラスしてないと、万斉さんじゃないみたい」

 サングラスを戻そうと○○は手を伸ばした。だが、その両手首を捕まれた。
 ○○は驚いて目を見開く。真っ直ぐな視線は、未だ○○の瞳に注がれている。

「サングラス越しであれば、視線に気づかぬでござろう」

 手を下ろされる。

「拙者はいつも見ていたでござる。ずっと。○○を」

 視線を受け止められず、○○は床に目を落とす。

「万斉さん、酔ってる……わけないよね」

 万斉はアルコールを口にしていない。
 只々、○○の口から吐き出される高杉に対する愚痴に付き合っていた。
 憂いと寂しさに沈む、○○の顔を見ながら。

「○○の前でこそ、これが必要でござった」

 抑えきれない、想いを隠すため。
 ○○は顔を上げた。その表情には困惑の色が浮かんでいた。
 万斉は顔を近づけ、唇を重ねた。○○は拒まなかった。
/ 140ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp