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『IDOLISH7』世界で一番好きな人

第4章 第三章雨の日の秘め事





言葉を塞がれるようにキスをされた。


「ばっ…万理さん!」

「君が好きだよ。男でも女でも関係なく」

「え!」

頭のの中がパンク思想だった。


「なっ…何を」

「ここ最近は悩んでいたんだよ。君が男なのに、俺は君が好きで…カミングアウトしたんだと思って」

最近悩んでいたのはそれだったんですか。
いや、待てよ?
万理さんは男の私が好きって事はだ。

「違うからね?俺はそんな趣味はない…君が好きなのは否定しないけど」

「あの…万理さん。何で私を?万理さんならより取り見取りだと思うんですか」

私を好きになる要素が見当たらない。
思えば万理さんに迷惑をかけて困らせたことはある。

好きになられる要素がまったくないな。

「あのねぇー…」

「だって思い返せば万理さんを困らせた事しかしてないような。最後は騙していたし」

「事情があったんだから騙したわけじゃないでしょ?それに俺はずっと君が可愛いと思ったよ…まぁ、奏音君だしね」

「どういう意味ですか」

「君は天然で、俺の中に入って来て振り回しては、うじうじした気持ちをぶち壊してしまう。まるで壁をガラガラ壊す」

「貶されてるようにしか聞こえません。やっぱり万理さんが私を好きになる要素ないじゃないですか!」


聞いていて泣きたくなった。
もしや私は気を使われているのか。

「あの、万理さんはそうやって女の子を口説くんですか?遊び人ですか」

「…俺、そこまで信用ないの?」

「だって…私の事を好きだなんて言うもの好きはいない。価値がない私を口説く意味はない」

「待って…そんなことを言われたの?誰に言われたの」


うっかり出た言葉に万理さんの目が鋭くなった。

「えっと…」

「君は何で傷つけられ怒らないんだよ。他人に君を傷つけられて言い訳がない…君は今でも十分素敵だよ」

「でも…私」

「でもじゃない!君は価値がないなんてありえない。もっと自分を大事にして…俺の好きな人をそんな風に言うのは君自身でも許せない」


――好きな人。

その言葉で涙が溢れた。


「うっ…」

「俺は君が好きだよ。誰よりも君が…俺の事好き?」

「はい…世界で一番好きです」

「ありがとう。嬉しいよ」


優しい万理さんの手はまるで魔法だった。
私の涙を拭い、優しさで包んでくれたのだった。

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