第4章 第三章雨の日の秘め事
沈黙がしばらく続くいた。
ずっと黙っている訳にも行かず、万理さんはため息をついた。
「奏音君、女の子…だね」
「生物学上は…はい」
「いや、普通に女の子だね」
「すいません」
バレた。
完全にバレてしまった。
騙している事がバレた!
「ああ!泣かないで!俺は責める気はないんだよ」
「私はどうなりますか」
「ちょっと!俺が何かするみたいな言い方しないで…でも社長が言っていたのはこの事か」
音晴さんは何を言ったの?
もしかして私の過去をベラベラ話したの?
「勘違いしないでね、君がストーカー被害にあった事はこないだ聞いたんだ。その君の知らない所で聞いたのは悪いと思ったけど」
「いえ…黙っていた私も悪いです。事務所にいる間、私が働いている服飾店のオーナーと響達が、男装をすることを条件を出したんです」
「妥当だと思うよ。危ないかもしれない…いや実際男装でも危ないけど、そのままだと余計ね」
芸能事務所では女性スタッフはトラブルに合いやすい。
前に勤めていた芸能事務所で嫌という程に経験したからこそ私は男装することで自衛したのに。
本末転倒だわ。
「すいませ…」
「ああ、泣かないで…責める気はないし。俺は怒っている訳じゃないから」
「でも騙してました。ずっと」
本当は話すべきだったんだろうけど。
私が言えなかった。
「でも良かった」
「え?」
何で良かったのだろうか。
私は万理さんをずっと欺き続けていたのに。
「万理さん…マゾなんですか?」
「だから何でそんな発想になるかな」
だって騙されて喜ぶなんてそうとしか思えない。
「俺はカミングアウトしてしまったと思ってたんだ。てっきり男が好きだと」
「そうなんですか?」
「だから違うから!この前の言葉をそっくりそのまま返すよ?君は俺よりもずっと鈍感だよ」
私が空気を読めないのは解っているけど、何で今言うんだろうか。
「まったく解ってないね」
「万理さ…」
私の言葉は万理さんによって遮られてしまった。