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『IDOLISH7』世界で一番好きな人

第3章 第二章新しい星の誕生





業界では彼の事を皮肉ってこう呼ぶわ。
表仏で裏は鬼の小鳥遊とも。

見た目は優しそうな顔をしながらも中々の強かさを持って仕事をもぎ取るんだから。

「ある意味八乙女のおじ様の方がずっと優しいわ。底意地が悪んですもの」

「ははっ…彼には会ったら睨まれるからね」

「当然でしょ?笑いながら美味しい所だけペロリだもの」

本当に水と油な関係だけど、二人も好敵手になるのかしら?

八乙女のおじ様は毛嫌いしているけど。


「まぁ、僕達の事はさて置きとして。例のモノは?」

「ちゃんと持ってきてますよ」

今日呼ばれたのは、もう一つ大事な話をする為だった。


「拝見するよ」

「どうぞ」

ずっと延び延びになっていたIDOLISH7のデビュー曲の作詞とプロモーションについて話し合いだった。


「うん、流石だよ」

「ありがとうございます」

「Mezzoの新曲も良かった。何より詩が良い…それだけに残念だ。これだけの才能を」

「言っておきますけど作曲は二度としません。五年前に辞めたんです」

「奏音ちゃん…」

「もう曲は作りません。そうお約束しました」


私は作曲から離れた。

離れるべきだと判断したからだ。


でも、音晴さんは私に事務所に留めて音楽から無理に離れないようにしてくれた。

でも、過去のトラウマが私を襲う。
作曲をしなければあんなことにはならなかった。

だから私は―――。


「二度と作曲はしない」


大好きだから。
嫌いになりたくないからこそ作曲はしない。


作曲家としての私はすべてあそこに置いて来たのだから。


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