第3章 第二章新しい星の誕生
「君、それは愛の告白だよ」
開口一番に言われたのそれだった。
打ち合わせをかねて居酒屋で飲みながら社長に言われ眉を顰めた。
「はい?」
「ああ、可哀そうな万里君。いきなり君が辞めることを突きつけられ傷ついた後にそんな愛の告白をするなんて…まぁ本人は告白だと気づいているか微妙だけど」
このままジョッキのビールをぶっかけてやろうか?
半分面白がっているだろ。
「社長」
「まぁ、半分は冗談としても。このタイミングで言うとは思わなかった」
「私もギリギリまでは黙っているつもりでした」
言うべきか悩んだし、事務所を辞めても二度と会えないわけじゃないし。
「訳ありで事務所に匿って貰った事は感謝してるし。勉強もさせてもらった事も感謝してますわ」
「僕も感謝しているよ。君が事務所に来てくたから芋づる形式であの二人も来てくれた」
「失礼ね」
二人を芋にしないで欲しいわ。
でも、業界でも売れっ子である美容師とメイクアップアーティストが小さな事務所で雇うには費用が半端ない。
私が事務所にかくまってもらっているから格安で仕事を受けてくれたに過ぎないのだ。
「君の男装も恐ろしい程に似合っていたよ。君には才能があるね」
「喜んでいいのやら」
男装をするのは、自衛のため。
女性よりも男性の方が身を守り事ができるし。
私は他人との付き合いがあまり得意ではなく、以前は失敗をした。
それで男装して事務所で手伝いをすることに至った。
過ちを繰り返さないために。
「けれど、君さえよければずっといてくれていいんだよ」
「私に二足の草鞋を踏めと?第一、紡ちゃんが育ち、社員が増えれば私はいる意味がないでしょう?今でも宙ぶらりんなのに…新人が入って来た時に私を見てなんて思う?」
バイトとは言え、印象は良くないはずだ。
それに正体をずっと隠し通すのは難しいかもしれないし。
「私も本当の意味で独立をするつもりですから」
「え?じゃあ…」
「ええ、ようやくかめどが立ちそうです」
私達三人の夢を叶える為にずっと準備していた。
「本当ならもっと早くにできるはずだったんですけどね?仕事をバンバン持ってくるので」
「ははは!申し訳ないね」
前々申し訳なさそうな顔をしていないけどね!