第3章 第二章新しい星の誕生
どうしよう?
なんて言い訳をすればいいから思いつかなかった。
「ごめん、俺が勝手に言っているだけだから気にしないで」
「万理さん」
余計に気を使わせてるなんて。
こんな顔をさせたいわけじゃないのに。
「万理さん、貴方の前にいるのは誰です」
「え?奏音君」
「そうです。全部じゃないけど私です。そして先日お恥ずかしい姿を見せたのも私…」
「そんなことない!」
何で恥ずかしいなんて言うんだ?
あの時の君はとてもかっこよくて立派だったのに。
「あの場で感情的になりました。常に理性的でいなくてはならないのに、私はまだまだです。貴方のように理性的じゃない」
「俺?」
「万理さんは何時も笑っていて…タフな精神をお持ちです。私はポーカーフェイスがまだ上手くないので」
そんな風に思ってくれていたんだ。
俺は君に情けない部分ばかり見せていると思っていた。
「私は、万理さんの優しくて強い所は尊敬します。でも無理をする万理さんは嫌いです」
「え!」
嫌って言われた!
笑顔で言われるよ余計悲しいんだけど。
「私は笑っている万理さんが好きです」
「えっ…あの」
「だから無理はして欲しくないです。私の事でも…」
なんだこれは!
耳を誑した子ウサギのような表情で、これはきなこか!
「ごめん、俺の勝手な我儘なんだ…思えば俺は奏音君のことを知らなさすぎると思って」
「私の事ですか?」
「うっ…うん」
聞くまいか悩んでいたけど、誤解されたままならば素直に聞いてもいいかな?
「奏音君は何時も笑って怒らないから」
「怒る要素がないなら怒りませんよ」
「でも、ずっと笑っているから」
困った表情もせずに常に笑顔でいる。
だからそれが寂しく思う時があるし、悩みがあったら言って欲しいと思うのは俺の我儘だ。
「時折君との間に境界線を感じるんだ」
「すいません…私は他人との距離感が上手く掴めてなくて。不快な思いを」
「いや、そうじゃないんだ。もう少し気軽に接して欲しいって言うか…えっと」
俺は何を言っているんだ。
困らせることを解っているのに、こんなことを。