第3章 第二章新しい星の誕生
例えどんな暗闇でも灯はある。
光がない絶望の中でも希望は必ずあるのだから。
「マコ兄…」
「すごい!無音でステップがピッタリだ!みっちーすげぇ!」
三人はずっと暗闇の中で光という名の希望に手を伸ばし続けたのだから解っている。
「あんな地味なパフォーマンス受けるわけないでしょ」
「そうよ悪あがきよ」
「どうでしょうか」
一分の無音のダンスが行われた後に音響が復活し虹色のスポットが当たる。
「「「ワァァァ!!」」」
大きな歓声とペンライトの灯が彼等に掲げられる。
「ショーはこれからですよ」
「そんな…私達の時は」
歓声はなく拍手だけだった。
「真のダンサーのパフォーマンスは見る人の世界を変え、声を上げずにいられない。彼等は真のダンサーです」
彼等はダンサーとしてのプライドを追って完璧なパフォーマンスをしている。
「君達、これ以上無様な真似をしないでくれる?」
そこに現れたのはこのフェスの優勝候補だった。
「九条さん!」
「聞かせてもらったよ。君程度のダンスで他人を批判するなんて何様だい?実に不愉快だね」
「アンタ等、情けねぇな…対戦相手の妨害かよ。最低だな」
「こんな事して恥ずかしくないのかい」
王者TRIGGERだった。
「何の事ですか」
「しらばっくれても無駄だよ。君達が悪だくみをしたことは解っているんだから…実力もない癖にこういうことは得意なんだ?アイドルに向いてないよ」
「性格が悪すぎるな。だからダンスも魅力がないんだよ」
「ちょっ…二人共。いくら何でも正直に言ったら可哀そうだよ!」
いや、一番酷いのは貴方ですけどね。
「やっぱりアンタ等か!衣装を破いたのは!」
「証拠はないわよ!」
「そっ…そうよ!言いがかりだわ」
演技は今一つのようだ。
明らかに動揺している事態で演技の才能はゼロだわ。
「告げ口はしません。脅迫も嫌いですから」
「はっ…何言ってんだアンタ!」
「ここはダンサーの聖地。聖地を汚すことは許しません。群衆の声は時としてどんな権力者の前でも意味がないから…貴女達が妨害しようと彼等は負けません」
例え八百長をしたとしてもこの瞬間を見てくれている人がいる。
だから私は信じている。