第3章 第二章新しい星の誕生
本来ならば七人一緒にデビューできると思っていた彼らにしてみれば面白くないのは解っていた。
そこにいきなり真琴達のデビューが決まれば焦るかもしれない。
でも彼等よりも三年前にアイドル候補生となったのだ。
Mezzoがデビューした時複雑だったはずだ。
だからこそ私は最後の仕事として彼等を必ずデビューさせたかった。
解ってもらうのは難しいかもしれないけど。
「俺応援する!」
「環君…」
「だってみっちーは学校でもずっとレッスンしていた。放課後も一人でダンスの練習してるの知ってたし」
湊は環と同い年だった。
対照的であるけど、環は湊の頑張りを見ていたのかもしれない。
「みっちー何時も一人で練習して…なのに俺がデビューした時に祝ってくれた。だから俺もみっちーがデビューしたら祝う!友達だからな」
「…そうですね。よく考えれば私達は後から入ったのにチャンスに恵まれました。赤坂さんは私達を責める様な事は一度も言いませんでしたね」
「そうだな…なんか俺情けねぇ」
早くデビューしたいと言っていた三月君も申し訳なさそうにするけど、焦るのは仕方ない事だ。
「同じ事務所でもライバルだから焦るのは仕方ない。でも、お互いにいがみ合うより刺激し合える仲になってくれたら嬉しく思うよ」
「奏音さん」
追い越す者と追い越される者同士摩擦が起きて嫉妬を抱き憎しみの感情が芽生えてしまうのは仕方ない。
けれど互いに競い合い、時には好敵手となってくれればこれ以上嬉しい事はない。
「いおりん、失敗しないようにアドバイスしてやれよ」
「なっ…人の古傷に塩をすり込むような真似しないでください」
「みっちーに歌い忘れないようにいってやろ」
「四葉さん!」
うんうん、こういう時の環は好きだな。
嫌味じゃなく本心で言っているから余計にそう思う。
まぁ、少し一織が哀れだけど。
何はともあれ、デビューに向けてプロジェクトは開始され、ダンスフェスティバル当日を迎えることになった。