第3章 第二章新しい星の誕生
【陸side】
それはいきなりの事だった。
最近奏音さん達の姿を見ないと思い寂しさを感じている最中にマネージャーから伝えられた。
「実は、黒崎さん達のデビューが決まりまして」
「え?真琴さん達が!」
「どういうことですマネージャー。社長は私達七人をデビューさせるのは難しいと」
「はい、そうなんですが、皆さんのデビューとは別に黒崎さん達のデビューの準備は三年前からされていたんです」
最初に声を上げたのは一織だった。
俺も最初はどうして?とも思ったけど…。
「三年って」
「皆さん候補生になる三年前から彼等はレッスンを受けながらもデビューは先送りにされていたんです」
「そっか…なんか悪いことしたな」
大和さんが居た堪れない表情をしながら告げた。
「でもいきなりデビューなんて…いいのかよ」
「問題ないそうです。彼等はこれまでバックダンサーやコーラスとしても仕事は受けていましたので」
俺達はスカウトされてすぐにデビューのチャンス得たけど、彼等はどうなんだろう。
挨拶こそするけど、それだけだった。
「僕達の方が後輩なのに…先にデビューしたから」
「それは関係ないよ」
空気が重くなる最中、現れたのは奏音さん達だった。
「社長の意向によるものだからね。君達もデビューには数年かけるつもりだった…でも機会に恵まれただけ」
「けど、二人の場合は!」
「八乙女芸能事務所に目を着けられなくても、二人は先に別のユニットデビューする予定だった」
「そんな!」
じゃあどっちにしろ、俺達も後数年後にデビューって事だったって事?
「先輩後輩は関係なくチャンスを手にした者が上に上がっていく…けれど貴方達は誰よりもチャンスに恵まれている。だから今ここにいる」
「奏音さん」
「悔しいだろうけど。せめて仲間の門出を祝ってあげて欲しい。彼は三年間努力を続けて来た。君達とは違う場所で歯を食いしばってきた事だけは忘れないで欲しい」
先にデビューする真琴さん達が正直羨ましいと思ったけど、でも三年間我慢して来た彼等はどんな思いだったんだろう。
俺達が何も言えない中、沈黙を破ったのは意外な人物だった。