第1章 ランウェイ☆パニック(レオヴィル)
その日、世界的トップモデル、ヴィル・シェーンハイトは
焦っていた
明後日に控えた国内最大級イベント『マジカルコレクション(通称マジコレ)』に出演予定のモデルが体調不良により欠席するとの連絡が入ったのだ
その上、ヴィルなら美形の知り合いが1人や2人はいるだろうと
事務所から無理難題を突きつけられたのだ
(ショーに出るなら最低でも身長180cmは必要…。こうなったら…アタシも気は乗らないけどアレに頼むしか無いわ)
「お願いレオナ!明後日のファッションショーに一緒に出て頂戴!!」
「あぁ?何だよ藪から棒に」
レオナの眉毛がピクりと動く
唐突にファッションショーに出ろ、と言われれば
誰だって驚くだろう
ヴィルは事の経緯を説明し尚も出演して貰えないかと頼み込む
「身長180cm以上なら、俺の他にもワンコロやカイワレ、セベクがいるだろう。気に食わねえがトカゲ野郎が出た方がよっぽど舞台映えすんだろ」
レオナの言い分は尤もだが、イデアは早々に「リア充イベントは御免でござる〜」と逃げられ
ジャックは少々鍛えすぎて衣装が入らない
リーチ兄弟は途中で飽きて何処か行きそう
セベクは若様(マレウス)と一緒じゃないと出ないと言い
トレイはやんわりと断られ
マレウスを急に出演させようものなら国際問題になりかねないと
見事なまでに惨敗したのである
「で、俺の元へと来たわけか。なんでトカゲ野郎はダメで俺なら良いと思ったんだ?仮にも俺だって王子だぜ?」
「こんな時だけ王族を持ち込まないで頂戴。それにあんた、顔だけはいいもの。ねぇ、お願い。ただ歩くだけで愛想笑いも何もいらないから。…分かったわ、ショーの終わりにあんたの大好きな肉を奢ってあげるから。それで良いでしょう?」
「…はっ。餌で釣ろうってわけか。いいぜ。但し、フェアリーガラの時みてえに、お前にケツしばかれながら歩くのは御免だからな」
「ライオンの獣人ってことでその辺は目をつぶるわ。いい?放課後さっそくウォーキングの特訓をするから、サボるんじゃないわよ」
そう言うとヴィルはスマホを取り出しマネージャーに代理のモデルが見つかったと連絡をする
程なくして昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り、
2人は教室へと向かった