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あなたがたった一度の恋でした【鬼滅の刃】

第40章 竈門炭治郎との出会い








変な窪みと、そこから崖下に向けて何かが滑り落ちたかのような雪跡を発見した。

そこから見下ろすと、さらに下の雪には落下後のような痕跡もある。

冨岡さんも隣に並んで下を覗いていた。



「ここにいろ。様子を見てくる」

「はい、お気をつけて」



私が頷いたのを確認して、冨岡さんは下に飛び降りて軽々と着地していた。

私は辺りの気配も気にかけつつ、冨岡さんの行動を見ていた。

冨岡さんは窪みをジッと見て、それから向かって右手を向いた。



ーーそして、突然走り出した。



「!」



その焦った様子から何か見つけたんだと思って、私もそこから冨岡さんが移動した方向に走った。



師範が見据える先に視線をやると、女の人が馬乗りになっていて誰かと揉み合っている様子だ。

女の人の取っ組み合いの喧嘩にしては激しいし、鬼かもしれない。

冨岡さんが日輪刀を抜いたのが見えた。



(やっぱり……っ)



きっと、さっきの家族を襲った鬼に違いない。



「………!!………!!」



被害に遇ってる人が何か必死に助けを求めて叫んでる。

冨岡さんが一気に間合いをつめ日輪刀を振り上げた。

終わった、心の中でそう呟いた瞬間、冨岡さんの刃が空を斬った。



「っ!?」
「っ!?」



驚いた私は足を止めて、その光景に釘付けになった。

だって、喰われそうになっていた人間が鬼を庇うなんて………ありえないでしょ。

今、君が守った鬼は君を殺そうとしていたのに。



(どうして………??)



冨岡さんの刀から守るように鬼を抱き締めている少年が、私は信じられなかった。

鬼化した家族を庇う人は珍しくない。

けれど、初めは大切な人が鬼に変わったことを受け入れることができなかった人も、自分が襲われることで身をもってその恐ろしさを知り諦めるというのに。

この少年はそれでもーーー

私は、我が目を疑うような行動に出た必死な少年の顔をジッと見つめた。





これが後に鬼殺隊に入隊してくる竈門炭治郎との出会いだった。





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