第4章 この道、桜吹雪につき。注意。
●小金井 慎二● 〜校庭〜
「おいコガ!
お前道のど真ん中で何やってんだよ?」
まさに、不幸中の幸いだった。
頼みの綱の声が聞こえてきた。
「伊月助けて!!」
ビラの山を頭に、その場に縮こまったオレの上から聞こえてきた声に、思わず助けを求める。
上目遣いで見上げた視界は、A4サイズのビラに遮られていつもより狭いが、そばに居るのは伊月だということはすぐに分かった。
「“助ける”って…なんの必要が」
「鳩に襲われた!」
「は…鳩ぉ〜??」
「お願いだから違ってて!」って、まだ思っていたのに、自分で言っちゃった…
嫌だと思ってるのに、完全に断言しちゃった…
だけど、間違いないと思ったんだ。
「さっきオレに向かって飛んできたのは、“鳩”に間違いない」って。
だってここ東京。
どこに行っても、鳩の数には事欠かないことはオレがよく知ってる。
「お前な…その程度で
なにをそんなオーバーな」
「絶っっっ対オレのこと
ロックオンしてる動きだった!
見放さないでここは一つ助けてよ!
現在進行形で命危ぶまれてるんだよ〜!!」
上目遣いの代わりに顔を上げることで、オレの視界は陰りを飛び出し、再び太陽の光の下へと世界を広げた。
そこにはやっぱり伊月がいて、その隣には水戸部もいる。
オレを見下ろした伊月の口から、大きな溜息と共に「しょうがねぇーな…」という言葉が溢れ落ちたこと。オレは見逃さなかった。
「それで?お前を狙ってる
その“鳩”はどこだ?」
「あっちあっち!あっち行ったあっち!!」
正確な場所が分からず、大雑把に指を差した「あっち」に、伊月と水戸部の視線が向けられた。
ヤツは桜の木の間とオレの真上を結んだ、その直線の延長線上にいるはずなんだ。
きっと、伊月ならすぐに見つけられる!!
「もしかして…アイツのことか?」
「どこ?!どいつ?!!」
さすが伊月。
見つけるのが早い。
これで、鳩じゃなかったら万々歳だし。
やっぱり鳩だったら、2人には悪いけどこの場からすぐに逃げさせてもら
「…ありゃ鶯だ」
「え。」